税理士が押さえておきたい事業承継の紹介フロー——顧客を守るために知っておくこと
顧問先の社長が、こんなことを打ち明けてきたことはないでしょうか。
「子どもは継ぐ気がないみたいで……。でも、まだ誰にも相談していないんですよね」
税理士として長年信頼関係を築いてきた相手からの言葉だからこそ、重く受け止めた方も多いはずです。
日本の中小企業の約60%が、後継者不在のまま経営を続けているといわれます。顧問先の社長が70歳を超え、健康に不安を感じ始めたとき——その「信頼できる相談相手」として最初に頼られるのは、多くの場合、顧問税理士です。
この記事では、税理士・会計士の方が事業承継の紹介に関わる際に知っておきたい紹介フローと、よくある疑問への実践的な答えをまとめました。
税理士が事業承継に関わる場面
オーナーから相談を受けたとき
後継者不在の問題は、経営者が長年一人で抱えているケースがほとんどです。「誰に話したらいいのかわからない」という方が、もっとも信頼している専門家——顧問税理士——に初めて打ち明けるのは、自然な流れです。
その瞬間に「よい承継パートナーを紹介できる」か「知り合いがいないから……」で止まるかは、顧問先にとって大きな分岐点になります。
財務諸表の整備・企業価値算定のサポート
第三者への承継を進める場合、買い手は必ず企業の財務状況を精査します。税務申告書・決算書が整理されているかどうかは、承継プロセスの速度と成否に直結します。
税理士として財務諸表の整備をサポートすることは、顧問業務の自然な延長です。適正な企業価値算定の場面でも、普段から財務を把握している税理士の存在は不可欠です。
信頼できる承継パートナーへの紹介
「誰かいい人を知らないか」と聞かれたとき、紹介できる承継パートナーがいるかどうかが問われます。大手M&A仲介会社、地域の事業承継支援機関、あるいはリレーパートナーズのような承継専門のパートナー——それぞれの特徴を把握しておくことで、オーナーにとって最善の選択肢を提示できます。
紹介フローの全体像(5ステップ)
実際に税理士が事業承継の紹介に関わる場合、以下の5ステップが一般的な流れです。
Step 1:オーナーの意向・状況を丁寧に聞く
まず確認したいのは、「売りたい」「誰かに継いでほしい」という意向の強さと、「いつごろまでに決めたいか」という時間感覚です。
「まだ考えたくない」という段階のオーナーに対して、焦って情報を提供しすぎると逆効果になります。「一緒に考えましょう」という姿勢で、オーナーのペースに合わせることが最初の一歩です。
確認しておくとよい主なポイント:
- 後継者候補(家族・社内)の有無と意欲
- 売却・承継に対する心理的なスタンス(「まだ早い」「急いで決めたい」など)
- 従業員・取引先に対する責任感の強さ
- おおよその希望タイムライン
Step 2:選択肢を整理して提示する
選択肢は大きく4つです。①親族内承継、②従業員承継(MBO)、③第三者への事業売却(M&A・承継パートナー)、④清算・廃業。
税理士の役割は、どれが「正解か」を決めることではなく、「どの選択肢にどんな特徴があるか」を客観的に整理することです。オーナーが自分で納得して決断できるよう、選択肢を分かりやすく示す。それだけで、顧問先から深く感謝されます。
Step 3:信頼できる承継パートナーに橋渡しする
第三者への承継が現実的な選択肢として浮かんだ段階で、具体的なパートナーを紹介します。
紹介の際に大切なのは「丸投げしない」こと。「私も一緒に話を聞きます」「何かあれば相談してください」という姿勢を見せることで、オーナーは安心して承継パートナーとの対話を始められます。
Step 4:交渉・デューデリジェンスへの関与
承継パートナーとの交渉が進む中で、財務・税務の観点から税理士がサポートできる場面は多くあります。
- 財務DDへの資料提供・説明補助
- 適正な企業価値算定への貢献
- 税務上の留意点(株式譲渡・事業譲渡の税務)のアドバイス
- 契約条件の確認(税務リスクの観点)
この段階で税理士がしっかり関与することで、オーナーは「専門家が守ってくれている」という安心感を持てます。
Step 5:クロージング後のサポート(税務・財務面)
承継が成立した後も、税理士の仕事は続きます。
- 株式譲渡に伴う確定申告
- 代表者変更後の税務手続き
- 従業員・取引先への適切な情報開示のサポート
クロージング後のフォローまで寄り添えることが、長年の顧問関係における税理士の強みです。
承継パートナーを選ぶ際のチェックポイント
顧問先に紹介する承継パートナーを選ぶ際、以下の観点を確認しておくと安心です。
従業員・顧客を守る姿勢があるか
中小企業オーナーにとって、「従業員の雇用と待遇を守る」ことは承継の最重要条件の一つです。承継パートナーが「従業員を守る」と明示的にコミットしているか、実績はあるかを確認してください。
オーナーに分かりやすい条件提示ができるか
「売却対価をどう決めるか」「いつ、どのように支払われるか」——これらが分かりやすく説明されない場合、オーナーは不安を感じます。条件が透明で、担当者がオーナーのペースに合わせて丁寧に説明してくれるかが重要です。
守秘義務の扱いが明確か
承継の話が社内・業界内に漏れることを、オーナーは非常に恐れています。「話を聞くだけでも秘密厳守」という姿勢が、信頼を生む出発点です。
紹介フィーについての現実的な話
「紹介フィーをもらうと、利益相反にならないか」と心配する税理士の方もいます。
実際には、紹介フィーの設定は承継パートナーによって異なります。フィーなしで紹介を受け付けているケースも、成功報酬型のケースもあります。
大切なのは、フィーの有無や金額を事前に顧問先に開示しておくことです。「紹介フィーがある場合、事前にお伝えします」という一言があるだけで、信頼関係は守られます。
倫理規程の観点から不安がある場合は、日本税理士会連合会(日税連)のガイドラインを確認するか、所属支部にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q: 事業承継の紹介をすると、顧問関係に影響しますか?
「紹介したことで顧問先を失うのでは」と心配される方がいますが、実際はその逆のケースが多いです。長年悩んでいた問題を一緒に解決しようとした税理士への信頼は、むしろ深まります。承継後も新しい経営者の顧問税理士として継続するケースも少なくありません。
Q: 紹介フィーはどのくらいが相場ですか?
M&A仲介では「レーマン方式」(売買金額の3〜5%)が一般的ですが、紹介フィーはそれとは別の取り決めになります。承継パートナーによって異なるため、事前に直接確認することをお勧めします。リレーパートナーズでは、紹介フィーの条件を個別にご説明しています。
Q: オーナーが売却を嫌がっている場合はどうすればよいですか?
無理に勧める必要はありません。「情報だけでも持っておいてほしい」という程度の提案から始めるのが最善です。時間が経つほど選択肢が狭まることをそっと伝えることが、オーナーへの誠実な関わり方です。
Relay Partnersの税理士パートナープログラム
リレーパートナーズは、顧問先のオーナーが後継者不在で悩んでいる税理士・会計士の方のためのパートナープログラムを設けています。
- 秘密厳守を最優先: 「話を聞くだけ」でも守秘義務を徹底。オーナーに安心して相談いただけます
- 従業員・顧客の保護にコミット: 雇用・待遇の継続を条件として提示。オーナーが安心できる承継を実現します
- 透明な条件提示: 対価・支払い方法を分かりやすくご説明。オーナーを混乱させません
- 税理士の顧問関係を継続支援: 承継後も引き続き顧問税理士として関わっていただけるよう配慮します
「顧問先のために、信頼できる相談窓口を持っておきたい」という税理士の方は、まずお気軽にご連絡ください。
税理士パートナープログラムについて、詳しくご説明します。秘密厳守・完全無料でご相談いただけます。
お問い合わせはこちら