財務・価値評価

決算書に自信がない——承継前に財務をどう整えるか

2026年7月13日|記事一覧に戻る

「決算書が恥ずかしい」——こう思うオーナーは多い

「赤字の年がある」 「社長への貸付金が多い」 「売上が年によってバラバラ」 「経費処理が雑だった年もある」

このような財務上の「やましさ」を感じて、事業承継の相談を躊躇しているオーナーは少なくありません。

しかし、完璧な決算書を持つ中小企業はごく少数です。多少の乱れがあっても、それがただちに「売れない理由」にはなりません。


買い手が決算書で見ているもの

買い手側(または事業承継パートナー)は、決算書の細かな乱れよりも、以下の点を重視します。

1. 本業の収益力(正規化EBITDA)

社長の役員報酬が市場水準より高い、私的な費用が経費に含まれている——こうした「オーナー企業特有の歪み」を取り除いた後の、本業の稼ぎ力を重視します。

これを「正規化EBITDA」と呼びます。

2. 事業の安定性・継続性

売上が特定の顧客に偏っていないか、業績の変動が激しすぎないか、を確認します。

3. 資産・負債の実態

帳簿上の資産と実態が一致しているか(不良在庫はないか、回収できない売掛金はないかなど)を確認します。


承継前にできる財務の整理

完璧にする必要はありませんが、以下の点を整理しておくと、承継プロセスがスムーズになります。

①役員報酬の確認

市場水準と比べて著しく高い役員報酬は、「正規化」が必要です。「本業の利益がこう変わる」という説明を準備しておくと良いでしょう。

②社長貸付・社長借入の整理

会社と個人の間の貸し借りが多い場合、整理できるものは整理しておきましょう。完全にゼロにする必要はありませんが、「なぜこうなっているか」を説明できる状態にしておくことが重要です。

③不良資産の確認

回収できない売掛金、動かない在庫、使っていない固定資産——これらが多いと、評価を下げます。可能な範囲で整理しておきましょう。

④個人と会社の経費の分離

経費に個人的な支出が混在している場合、最後の1〜2期は整理しておくと信頼性が上がります。


正直に話すことの重要性

財務上の問題点を隠そうとすることは、逆効果です。

デューデリジェンス(買い手側の詳細調査)の段階で必ず発覚し、「隠していた」という事実が信頼を大きく損ないます。

重要なのは、問題点を正直に開示し、「なぜそうなったか」「今後どうなるか」を説明できることです。説明できれば、多くの問題は交渉の中で解決できます。


「今の状態で相談してもよいですか?」

はい、むしろ「今の状態」で相談することをお勧めします。

財務を整えてから相談しようと思うと、それだけで数年が経ってしまうことがあります。

今の状態を専門家に見せ、「どこを整えれば評価が上がるか」「今の状態でもどれくらいの価値があるか」を教えてもらう方が、効率的です。


まとめ

「決算書が完璧でないと承継できない」は誤解です。

重要なのは「本業の収益力」と「正直な開示」。この2点を軸に考えることで、多くの財務上の問題は対処できます。

秘密厳守・完全無料。財務状況を一緒に確認して、最善の方法を探しましょう。

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