「決算書が恥ずかしい」——こう思うオーナーは多い
「赤字の年がある」 「社長への貸付金が多い」 「売上が年によってバラバラ」 「経費処理が雑だった年もある」
このような財務上の「やましさ」を感じて、事業承継の相談を躊躇しているオーナーは少なくありません。
しかし、完璧な決算書を持つ中小企業はごく少数です。多少の乱れがあっても、それがただちに「売れない理由」にはなりません。
買い手が決算書で見ているもの
買い手側(または事業承継パートナー)は、決算書の細かな乱れよりも、以下の点を重視します。
1. 本業の収益力(正規化EBITDA)
社長の役員報酬が市場水準より高い、私的な費用が経費に含まれている——こうした「オーナー企業特有の歪み」を取り除いた後の、本業の稼ぎ力を重視します。
これを「正規化EBITDA」と呼びます。
2. 事業の安定性・継続性
売上が特定の顧客に偏っていないか、業績の変動が激しすぎないか、を確認します。
3. 資産・負債の実態
帳簿上の資産と実態が一致しているか(不良在庫はないか、回収できない売掛金はないかなど)を確認します。
承継前にできる財務の整理
完璧にする必要はありませんが、以下の点を整理しておくと、承継プロセスがスムーズになります。
①役員報酬の確認
市場水準と比べて著しく高い役員報酬は、「正規化」が必要です。「本業の利益がこう変わる」という説明を準備しておくと良いでしょう。
②社長貸付・社長借入の整理
会社と個人の間の貸し借りが多い場合、整理できるものは整理しておきましょう。完全にゼロにする必要はありませんが、「なぜこうなっているか」を説明できる状態にしておくことが重要です。
③不良資産の確認
回収できない売掛金、動かない在庫、使っていない固定資産——これらが多いと、評価を下げます。可能な範囲で整理しておきましょう。
④個人と会社の経費の分離
経費に個人的な支出が混在している場合、最後の1〜2期は整理しておくと信頼性が上がります。
正直に話すことの重要性
財務上の問題点を隠そうとすることは、逆効果です。
デューデリジェンス(買い手側の詳細調査)の段階で必ず発覚し、「隠していた」という事実が信頼を大きく損ないます。
重要なのは、問題点を正直に開示し、「なぜそうなったか」「今後どうなるか」を説明できることです。説明できれば、多くの問題は交渉の中で解決できます。
「今の状態で相談してもよいですか?」
はい、むしろ「今の状態」で相談することをお勧めします。
財務を整えてから相談しようと思うと、それだけで数年が経ってしまうことがあります。
今の状態を専門家に見せ、「どこを整えれば評価が上がるか」「今の状態でもどれくらいの価値があるか」を教えてもらう方が、効率的です。
まとめ
「決算書が完璧でないと承継できない」は誤解です。
重要なのは「本業の収益力」と「正直な開示」。この2点を軸に考えることで、多くの財務上の問題は対処できます。
秘密厳守・完全無料。財務状況を一緒に確認して、最善の方法を探しましょう。
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