社員・組織への対応

社員と一緒に次のオーナーを探す——承継先選びに社員を巻き込む方法

2026年7月23日|記事一覧に戻る

「社員に知られたくない」vs「社員に相談したい」

事業承継を進めるうえで、多くのオーナーが悩むのが社員への情報共有です。

「知られたら不安になって辞めてしまうかもしれない」 「でも、黙っていて後で知られたら信頼を失う」 「主要な幹部社員には相談したいが、どこまで話すべきか」

この悩みは、正直に言って「正解」がありません。ただ、「何も言わない」が最もリスクが高い選択であることは確かです。


社員への情報共有、3段階のアプローチ

ステップ1:まず「キーパーソン」だけに話す

最初に情報を共有すべきは、最も信頼できる幹部社員1〜2名です。

この段階で話す内容:

  • 「承継を考え始めた」という事実
  • 社員の雇用を最優先に考えていること
  • 相手を決める前に意見を聞きたいこと

この段階で話さない内容:

  • 具体的な売却価格や交渉状況
  • 相手候補の名前や詳細

信頼できる幹部に「共同で承継先を選ぶプロセスに参加してほしい」と伝えることで、幹部が不安を持つどころか、むしろ承継を主体的に支えてくれる存在になる可能性があります。

ステップ2:承継先が決まったら「幹部層」に説明する

買い手の目星がついたら(または決まったら)、幹部社員を対象に説明の場を設けましょう。

この段階で伝える内容:

  • なぜ承継を決めたのか(経営者の言葉で)
  • 誰に・どのような形で引き継ぐのか
  • 雇用・待遇・職場環境がどうなるか
  • 元オーナーとして今後どう関わるか

「なぜ秘密にしていたか」の理由も正直に伝えることで、理解を得やすくなります。

ステップ3:契約締結後に「全社員」へ公表

全社員向けの公表は、できる限り契約が確定した後のタイミングが理想です。

理由は「まだ交渉中」の段階で広まると、不確実な情報が飛び交って不安が増大するリスクがあるためです。

公表の内容:

  • 事実の説明(いつ、誰に引き継ぐか)
  • 雇用継続の確約
  • 変わること・変わらないことの具体的な説明
  • 質問を受ける場(個別面談など)の設定

社員の不安に、どう向き合うか

承継の情報を知った社員が抱く典型的な不安:

「仕事を失うのではないか」 → 雇用継続の確約を、できれば書面で。言葉だけより具体的な証拠が安心につながります。

「給与・待遇が下がるのではないか」 → 承継直後は現状維持が基本であることを伝える。変更がある場合は誠実に説明を。

「会社の雰囲気が変わるのではないか」 → 新しいオーナーとの対話の機会を早期に設ける。「顔の見える関係」が不安を和らげます。

「自分はこれからどうなるのか」 → できる限り個別に対話する時間を設ける。「全体向けの発表」だけでなく、個人が感じる不安に向き合うことが大切です。


リレーパートナーズが重視すること

リレーパートナーズの承継モデルは、従業員の雇用100%継続を原則としています。

さらに、承継後のプロセスでは:

  • 元オーナーへのヒアリングを通じて、社員一人ひとりの状況を把握する
  • 可能な範囲で、元オーナーが承継後も会社に残り、社員の橋渡し役になれる
  • 経営改善の優先度を「コスト削減よりも成長投資」に置く

「買ったら変えていく」ではなく、「受け継いで、一緒に育てる」という姿勢が基本です。


幹部社員が「承継先選び」に協力してくれる場合

場合によっては、信頼できる幹部社員が「この会社を誰に任せるべきか」について意見を持っていることがあります。

そのような場合、幹部社員の意見を意思決定の参考にすることで、より良い承継先を見つけられる可能性があります。

幹部社員に求めてよいこと:

  • 「どんな会社・人物なら安心して会社を預けられると思うか」
  • 「買い手候補を実際に会わせたいが、意見を聞かせてほしい」

幹部社員に求めるべきでないこと:

  • 価格交渉や法的な判断
  • 情報漏洩のリスクがある段階での広範な相談

まとめ

社員への情報共有は段階的に進めることが基本です:

  1. まず信頼できる幹部1〜2名に話す(相談相手を作る)
  2. 承継先が見えてきたら幹部層に説明する(主体的な関与を促す)
  3. 契約確定後に全社員へ公表する(不確実な情報の拡散を防ぐ)

「社員に心配させたくないから黙っている」は善意の行動ですが、長期的には信頼を損なうリスクがあります。段階的に、誠実に情報を共有することが、最終的に社員の安心と信頼につながります。

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