承継の選択肢

廃業と売却、本当はどちらが損か?コストと残るものの比較

2026年7月14日|記事一覧に戻る

「廃業の方が楽かも」という考え

「M&AとかM&Aとか難しいことを考えるより、廃業してすっきりした方がいい」

「もう年齢だし、面倒なことをしたくない」

こう思うオーナーは少なくありません。承継のプロセスを調べ始めると「大変そう」という印象を受け、廃業の方がシンプルに感じることがあります。

しかし、廃業には見えにくいコストと「失うもの」があります。このページでは、廃業と売却を冷静に比較します。


廃業にかかる実際のコスト

廃業は「何もしない」のとは違います。会社を正式に閉じるには、法的・財務的な手続きが必要です。

直接コスト

  • 清算費用:弁護士・司法書士への手続き費用(数十万〜100万円程度)
  • 従業員への退職金:勤続年数に応じた退職金の支払い
  • 未払い債務の処理:仕入先、金融機関への返済
  • 資産処分費用:設備、在庫などの処分・廃棄コスト(ネガティブな場合は費用が発生)

間接コスト

  • 最後の仕入れ・決算処理:廃業を決めてから実際に閉めるまでの運転コスト
  • 取引先・顧客への移行支援:長年のお客様や仕入先への連絡・引き継ぎ

廃業で「失うもの」

コストの問題だけでなく、廃業では多くのものが失われます。

従業員の仕事

最も大きな影響は、従業員が仕事を失うことです。長年一緒に働いてきた社員が路頭に迷う——これが廃業を選べない理由として最も多く挙げられます。

取引先・顧客との関係

長年築いてきた取引先や顧客との関係は、廃業と同時に終わります。売却であれば、これらの関係を次の経営者に引き継ぐことができます。

会社の名前・ブランド・ノウハウ

数十年かけて積み上げてきた会社の歴史、ノウハウ、ブランド——これらはすべて消えます。

承継対価(売却益)

廃業では、まとまった売却益は得られません。残った資産を処分できるだけです。


売却のメリット(廃業との比較)

売却は廃業に比べて、以下の点で優れています。

  1. 従業員の雇用が守られる(承継先次第ですが、雇用継続をコミットする買い手を選べる)
  2. 取引先・顧客への影響が最小(会社は継続するため、関係は続く)
  3. 売却益が得られる(廃業費用を払うのと逆に、収入が得られる)
  4. 会社の文化・ノウハウが引き継がれる

「廃業の方が楽」は本当か?

廃業は心理的にはシンプルに見えますが、実際のプロセスは複雑です。

一方、適切な承継パートナーに売却する場合、多くの手続きをパートナー側がサポートします。

「廃業より売却の方が手間がかかる」というのは、必ずしも正確ではありません。特に、仲介手数料のかからない直接買取型であれば、プロセス全体をシンプルに設計できます。


廃業しかないと思っている理由を整理する

「売却は難しそう」「自分の会社は誰も買わない」と思っているオーナーも多いですが、実際に相談してみると、思っていた以上に選択肢があることに気づく方が多いです。

「廃業しかない」と結論を出す前に、一度だけでも専門家に相談してみることをお勧めします。


まとめ

廃業は「楽な選択肢」ではありません。コストがかかり、従業員と会社の未来が失われます。

売却という選択肢を排除せず、まず「どんな選択肢があるか」を知ることが第一歩です。

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