「売った後、どうする?」という問いに答えられますか
事業承継を考えるとき、多くのオーナーは「どう売るか」「誰に売るか」「いくらで売れるか」を気にします。
でも、同じくらい大切なのに後回しにされがちな問いがあります。
「売った後、自分はどうするか?」
長年、会社が生活の中心だった方にとって、その中心がなくなることは想像以上の変化です。財務的な準備だけでなく、精神的・社会的な準備もして初めて「良い引退」が実現します。
お金の問題:思ったより複雑かもしれない
売却益は手元にどのくらい残るのか
会社を売却して受け取るお金が、そのまま手元に残るわけではありません。税金が差し引かれます。
個人が株式を売却した場合:
- 売却益に対して約20%(所得税・住民税)が課税されます
- 例:1億円で売れた場合、税金が約2,000万円 → 手元に残るのは約8,000万円
分割払いで受け取る場合:
- 受け取った年度ごとに税金が発生します
- 一度に大きな税金負担がかからないメリットがあります
老後の生活費はどのくらい必要か
総務省の調査では、高齢夫婦世帯の平均生活費は月22〜25万円程度です。
ただしこれは「平均」。経営者として高い生活水準を維持してきた方は、それ以上が必要なケースも多いです。
自分の場合、どのくらいの生活費がかかるかを計算してみましょう。
計算式のイメージ: 月の生活費 × 12ヶ月 × 20〜30年 = 必要な老後資金
例:月30万円の生活費 × 25年 = 9,000万円
これに住宅コスト、医療・介護費用、予備資金を加えると、必要額はさらに大きくなります。
年金はいくらもらえるか
経営者(役員)として厚生年金に加入していた期間に応じて、老齢厚生年金が受け取れます。
確認方法:「ねんきんネット」または「ねんきん定期便」で自分の受給見込み額を確認できます。
時間の問題:忙しかった人ほど「暇」に苦しむ
「手持ち無沙汰」の現実
事業売却後、「これで好きなことができる!」と思っていたのに、実際には退屈を感じてしまう——これは多くのオーナーが経験するギャップです。
経営者は、仕事を通じて:
- 社会との接点を持っていた
- 自分の役割と存在感を感じていた
- 毎日の張り合いを得ていた
これが一度になくなると、予想以上に喪失感を感じることがあります。
「引退後の時間」を事前に設計する
売却前から、「引退後に何をするか」を具体的にイメージしておくことが大切です。
よくある選択肢:
| 選択肢 | 特徴 |
|---|---|
| 旅行・趣味 | 解放感はあるが、長期的な満足感が続きにくい場合も |
| 社会貢献・ボランティア | 社会との接点が維持でき、やりがいを感じやすい |
| 顧問・メンター活動 | 経営経験を活かす。会社売却後も関与できる場合も |
| 新しい事業・投資 | 再び「経営者」として活動。リスク管理が重要 |
| 農業・田舎暮らし | 生活の大幅な変化を求める方に人気 |
| 元の会社への関与継続 | 経営は手放しつつも、顧問として残る(リレーパートナーズはこれを歓迎) |
人間関係の問題:「社長」でなくなった後のアイデンティティ
「名刺がない自分」に慣れる
経営者にとって、名刺や肩書きは単なる自己紹介ツールではなく、自己認識の一部でもあります。
「社長」でなくなったとき、自分は何者か——このアイデンティティの変化に戸惑う方は少なくありません。
仕事関係の人間関係はどうなるか
従業員・取引先・金融機関担当者——長年の仕事を通じて築いた関係は、退任後に変化します。「仕事を通じた関係」が、「純粋な人間関係」に変化するか、薄れていくかのどちらかです。
退任後も大切にしたい関係は、退任前から「仕事以外での接点」を作っておくことが助けになります。
家族との時間が増えることへの準備
「一緒にいる時間が増えて、かえって摩擦が生まれた」というケースも珍しくありません。配偶者や家族と、引退後の生活について事前に話し合っておくことをお勧めします。
リレーパートナーズの承継スタイル:「完全な引退」を強制しない
リレーパートナーズへの売却の特徴の一つは、元オーナーが会社に残り続ける選択肢があることです。
完全に引退したい方も、顧問として週に数日関わり続けたい方も、どちらも歓迎しています。
「会社を手放す」だけでなく、「会社との関係を自分でデザインする」という考え方です。
まとめ
事業売却後の生活を、「お金・時間・人間関係」の3つの視点で事前に設計しておきましょう:
- お金:売却益と税金を計算し、老後の必要資金を把握する
- 時間:「引退後に何をするか」を具体的にイメージしておく
- 人間関係:「社長でない自分」のアイデンティティを準備する
焦る必要はありません。ただ、「売った後のことは売ってから考えよう」は、長期的に見てよくないパターンです。承継の準備と並行して、引退後の生活設計も始めてみましょう。
「承継後も会社に残りたい」「どんな形で関わり続けられるか聞きたい」——そんなご相談もお待ちしています。
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